運送会社に「満足な運賃」が支払われていない現実! 一般人は気にかけない、現場で続く“過酷ループ”をご存じか

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先日、M&Aキャピタルパートナーズがリポート「物流業界の運賃値上げ交渉の実態」を発表した。そこで明らかになった現場のリアルとは。

荷主の物流が止まる恐れも

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 しかし、運送会社からの値上げ要請を無視することで、自社の物流網が維持できなくなる恐れがあることも認識しておく必要がある。もし

「貴社の運送業務から撤退します」

といわれて、新たな運送会社を見つけようとしても、今より高い運賃の見積もりが出されることを覚悟しておかなければならない。値上げ要請をむげに断ることは、最悪の事態として自社の物流が止まり、製品や商品を消費者に届けられなくなることになりかねないのである。

 多くの運送会社は、運賃の値上げを原資として

「ドライバーの賃金を上げる」

ことを考えている。

 ドライバーの賃金水準は2021年の調査で全産業の平均より大型トラックドライバーで約5%、中小型トラックドライバーで約12%低くなっている。このまま他の産業より低い状態が続くと、ドライバーから別の職業に移ろうと思う人が増えるかもしれない。

 結果としてドライバー不足の問題は解決せず、「物流危機」が解消する見込みは立たない。それによって荷主企業や消費者は必要なときに必要なものを手に入れることが難しくなり、また顧客から求められるリードタイム(注文してからものを届けるまでの所要時間)で販売することも難しくなる恐れが生じる。

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