「スーパーに行けば何か買える」を当然と思うな! 物流危機で露わになった運送会社の不断の努力、2024年問題は「宅配問題」だけではない

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「物流の2024年問題」に対し「ECの翌日配送くらい我慢するよ」といった声も上がりつつある。だが物流クライシスはそんな生易しいものではない。これまでの「当たり前の日常」が崩れつつあるのだ。

「積載効率」増加に必要なこと

閉店したガソリンスタンド(画像:写真AC)
閉店したガソリンスタンド(画像:写真AC)

 物流クライシスの原因は、トラックドライバー不足である。しかし、少子高齢化が進み、2070年の日本の総人口が8700万人まで減少すると予測される日本において、ドライバー不足が解消する見込みはない。

 だからこそ、限られた輸送リソース(トラックなど)を無駄遣いせず、輸送効率を高める工夫が必要であり、そのためにさまざまな人や機関が知恵を絞っている。

 現在の積載効率は低い。1990年代には50%以上あった積載効率が、現在では

「40%以下」

まで落ちている。ただし、これは単純計算すれば、1台のトラックで運ぶ貨物量を2倍にすることができれば、現在のトラック輸送リソースの半分で、現在と同じ貨物を運ぶことができることを示す。よく言えば、現在の積載効率の低さは、イコール伸びしろとも解釈できる。

 ただし、高い積載効率を実現するためには、物量をまとめることが必要だ。まとまった物量がない貨物は、トラックで運ぶに足る物量にまとまる頻度でしか運べなくなる可能性がある。

 前編では、

「これまで日々輸送されていた鶏卵が、鳥インフルエンザの影響などにより生産数が減少した結果、隔日輸送しかできなくなったことで、卵の品不足に拍車がかかっている可能性」

を指摘したが、これが鶏卵に限らず、ありとあらゆる日用品において発生する可能性があるのだ。

 例えば、自動車のEV(電気自動車)シフトが進み、ガソリンや軽油の消費量が減少した将来において、現在と同じ輸送網を維持するのは難しい。当然、今までよりもガソリンスタンドに対するガソリン・軽油・灯油の供給頻度は少なくなるだろう。

 こうなると、

「ガソリン・軽油・灯油がないから、週に4日しか営業しない」

というガソリンスタンドが増えてもおかしくない(もっとも、その前にガソリンスタンドが淘汰(とうた)される)。

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