「スーパーに行けば何か買える」を当然と思うな! 物流危機で露わになった運送会社の不断の努力、2024年問題は「宅配問題」だけではない
「物流の2024年問題」に対し「ECの翌日配送くらい我慢するよ」といった声も上がりつつある。だが物流クライシスはそんな生易しいものではない。これまでの「当たり前の日常」が崩れつつあるのだ。
「店にはモノがある」は当たり前ではない
国内輸送において、企業間取引にともなう輸送活動の割合は高い。そして、企業間輸送される貨物は完成製品だけではなく、半製品、材料、原料、部品などが含まれる。つまり、物流クライシスがもたらす影響のひとつは、
「モノが作れなくなる」
ことなのだ。そしてもうひとつ起こりうる影響は、当たり前の日常が維持できなくなる可能性である。
私たちは店に行けば、常に多種多様なモノが並んでいることを当たり前だと思っている。しかし、この当たり前の影には、運送会社による不断の努力がある。
そして、この「当たり前の日常」が、物流クライシスによって限界を迎えつつあることは、記事「「卵」品薄騒動は運送会社にも大ダメージ! 2024年問題に見る、消費者そっぽ向きな辛らつ物流事情とは」(2023年5月12日配信。本編の前編)において、卵を例に説明した。端的に言えば、「運送会社による不断の努力」はもはや限界を迎えているのだ。
皆さんは
「卵の入荷は、月・水・金だけなので、卵が欲しければ、いずれかの日に必ずスーパーに行かなければならない」
という日常を受け入れられるだろうか。物流クライシスは、そこにモノがあるのが当たり前の日常を崩壊させる可能性すらある。「ECの翌日配送ができなくなる」程度の話ではないのだ。