三菱造船と仏エネルギー企業、液化CO2運搬船の開発調査を開始 需要増見据え連携
「CCUSバリューチェーンの市場形成を目指す」

三菱造船は2021年8月26日(木)、フランスのエネルギー企業トタルエナジーズ(TotalEnergies SE)と、液化CO2輸送船(LCO2船)の開発に関する実効性調査(フィージビリティ・スタディー、FS)を開始したと発表した。
脱炭素社会を実現するための有効な手段として、CO2を回収して貯留や転換利用するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)が注目されている。その中でLCO2船は、液化されたCO2を貯留・利用する拠点まで輸送する役割を担うもので、将来的な需要の拡大が期待されている。
LCO2船の開発にあたっては、三菱造船の液化ガス輸送船(LPG・液化石油ガス輸送船やLNG・液化天然ガス輸送船)の建造で蓄積したガスハンドリング技術と、三菱重工エンジニアリングの世界トップシェアであるCO2回収技術などグループ内の知見を結集させ、船陸にまたがるCCUSバリューチェーンの構築を目指すという。
トタルエナジーズのCCUS担当Vice PresidentであるBruno Seilhan氏は「大型LCO2船を検討するために、造船技術に定評のある三菱造船と提携できることをうれしく思う。LCO2船の大型化は、世界的なネット・ゼロ・カーボン目標の加速に伴って予想される地中貯留用CO2輸送量の急増に対応し、世界の産業用排出源のニーズを満たす鍵となる」とコメント。
三菱造船社長の北村徹氏は「CCUSバリューチェーン市場において主導的な役割を果たしているトタルエナジーズ社から、当社の技術・知見が評価されたことをうれしく思う。今後もLCO2船を通じて脱炭素社会の実現を目指すパートナーと協力して積極的な技術開発を行うとともに、CCUSバリューチェーンの市場形成を目指す」と述べている。