長崎「島原鉄道」崖っぷち 将来はBRTか上下分離か 立ちふさがる「運転手大量確保」の壁、県の指針が今問われる

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長崎県は島原鉄道の将来像について本格的な検討に入る。国と県の支援期間が2023年度で切れるためで、BRT化や上下分離が検討される見通しだ。

鉄道事業の赤字は2億円以上

島原道路(画像:(C)Google)
島原道路(画像:(C)Google)

 しかし、苦境は今も続いている。

 1km当たりの1日平均旅客輸送人員を表す輸送密度は2022年度で、

「1008人」

である。

 国土交通省の有識者会議がJR線のバス転換などを検討する目安とした、1000人を辛うじて上回っているにすぎない。

 2021年度決算の経常損失は約2億8000万円。人口減少とコロナ禍のダブルパンチを受けた鉄道事業の赤字は2億円以上に。長崎県などの支援4億2000万円余りを入れても3900万円近い純損失を出している。

 島原鉄道はサイクリング用の自転車を積み込めるサイクルトレイン、スイーツ列車など観光に力を入れているが、経営への効果はまだ出ていない。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、諫早市、雲仙市、島原市の人口は2045年、2015年比で

「22.8~42.8%」

減る見込みだ。

 しかも、島原鉄道とほぼ同じルートをたどって諫早市と南島原市を結ぶ地域高規格道路の島原道路が整備されている。島原鉄道を取り巻く環境は厳しさを増す一方だ。

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