自転車「ヘルメット」努力義務化で注目も そもそも保有率ダダ下がりの現実、まずは専用道路の整備急げ

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自転車利用に関する過去からのさまざまなデータをひもとくことで、日本で自転車のおかれた現状を紹介する。

自転車保有率も年々減少

自転車の個人保有率。縦軸は%、横軸は年。JNNデータバンク全国定例調査 各年11月調査より( 画像: JNNデータバンク運営委員会)
自転車の個人保有率。縦軸は%、横軸は年。JNNデータバンク全国定例調査 各年11月調査より( 画像: JNNデータバンク運営委員会)

 そして、自転車を持つこと(保有)についても、活用に向けての厳しい登り坂が待ち構えているようだ。

 同じデータから、過去10年間の個人による自転車保有率(電動アシスト自転車を除く)を見ると、自転車を持つ人の割合は一定して減り続けている。

 この一因には、同じ時期に普及が広がった電動(アシスト)自転車に置き換わったこともあるが、電動自転車を持つ人の割合の合計としても、グラフのように近年はほぼ横ばい状態を続けている。

 世帯としての保有率も2012年から2021年の間で10ポイント減少し(2021年 自転車産業振興会 『自転車保有並びに使用実態に関する調査報告書』)、自転車の保有台数も、2000年代以降は横ばいないし減少の状況が続き、増加を続ける自動車の保有台数と同じ位のレベルにとどまっている(第1回有識者会議資料)。

 シェアサイクルのようなサービスによって、借りることで自転車を持たなくても済むようになったとも考えられるが、実際の利用経験者は1割に満たないことから(2021年 自転車産業振興会)、まだ可能性は低いところだろう。

 自転車保有の減少について特に注目されるのが、女性における動向だ。電動自転車と合計しても、特に20代と60代の女性では10年間で10%以上の減少が見られている。

 この背景のひとつには、20代と30代を含む育児世代で自動車に切り替える人が一定数いるものと考えられ、通勤(通学)手段のデータを参考にすると、自家用車を主な通勤手段とする女性は両世代合わせて2015年から2020年の間に増加が見られたのに対して、自転車を主な手段とする女性には減少が見られている。

 子どもや荷物を自転車に載せて、買い物や通勤へ苦労そうに向かう女性を見かけるなかで、その負担軽減に今後も自動車が選ばれる可能性はある。

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