人も自然も傷つけない、夢の「バッテリー式電気自動車」は本当に実現するのか? さまよう欧州脱炭素政策にみる世知辛すぎる現実と理想

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EUがエンジン車の販売を2035年以降も容認すると発表した。世界中で普及が加速するBEVだが本当にこのまま拡大し続けるのか。

100%電動化を断念した欧州委員会

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 2023年3月27日、欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会は2035年以降のエンジン車廃止提案から、合成燃料「e-Fuel(イーフューエル)」を使用するエンジン車を除外することで、ドイツと合意した。一方、イタリアはバイオ燃料で走る自動車も2035年の廃止の対象から外すことを要望したが、失敗に終わった。

 2033年にエンジン車の廃止を予定するフォルクスワーゲンのシェーファー最高経営責任者(CEO)は、

「e-Fuelはトラックや航空機用で、乗用車の電動化にとっては不要なノイズだ」

とし、欧州運輸・環境連盟(T&E)は

「e-Fuelは、欧州の自動車メーカーが直面しているバッテリー式電気自動車(BEV)への転換を妨げる、高価で非効率的なものだ」

と述べている。

 フランスのル・メア財務大臣は、

「電気自動車への移行を後退させるわけにはいかない」

とし、BEV転換による欧州最大受益者となる予定のスペインも、ドイツ主導の反乱に失望を表明した。

 一方、ポルシェはBEVの補完技術としてe-Fuelの開発に対して既に1兆ドルを投資し、ランボルギーニはエンジンを存続させるためにe-Fuelの開発を進めている。フェラーリも

「顧客にエンジン車、ハイブリッド自動車(HV)、BEVの3種を提供する」

と歓迎した。

 このように賛否両論があるが、世界で11億台を超える既存乗用車に、既存設備で給油できるe-Fuelが、脱炭素技術として正式に認められたことは歓迎すべきだ。

 ただし、ガソリンの「1.5倍以上」と言われる価格を除けば、である。

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