人も自然も傷つけない、夢の「バッテリー式電気自動車」は本当に実現するのか? さまよう欧州脱炭素政策にみる世知辛すぎる現実と理想
EUがエンジン車の販売を2035年以降も容認すると発表した。世界中で普及が加速するBEVだが本当にこのまま拡大し続けるのか。
「夢のBEV」はいつ実現するのか

残りはふたつだ。
●BEV推進のため従業員解雇を準備中
ブルームバーグによると、フォードは米国に建設中のEV用バッテリー工場の運営資金を捻出するために、8000人を解雇する準備を進めている。従業員の再教育で雇用維持を目指す自動車会社はあるが、サプライヤーは無理だろう。
●ウイグルでの強制労働とコンゴのコバルト鉱山での児童虐待
英国のシェフィールド・ハラム大学の調査報告の一部を抜粋する。
「100社以上の国際的な自動車部品・自動車メーカーが製造した商品が、ウイグル人の強制労働に何らかの形で関与している」
報告書全文は、シェフィールド・ハラム大学のウェブサイトない記事「Driving Force」を参照されたい。ガーディアン紙によると
「アップル、グーグル、マイクロソフト、テスラ、デルはいずれも、コンゴ民主共和国のコバルト(リチウム電池の原料)鉱山で子どもたちが負傷したり死亡したりしたことに対する訴訟で名前が挙がっている」
という。先進国がBEVを賛美する一方、サプライチェーンの末端ではこのようなことがおきているのだ。「それはその国の責任だ」と切り捨てるには重たすぎる課題だろう。
いろいろ考えるとBEVの購入をちゅうちょしたくなるが、e-Fuelの価格がいつガソリン並みになるのかもわからない。そこで、前述の「夢のBEV」が登場するまでは
「(電力もe-Fuelも使える)PHEVを買う」
が当面の最善の妥協案である。ただ、その夢はいつ実現するのだろうか。