人も自然も傷つけない、夢の「バッテリー式電気自動車」は本当に実現するのか? さまよう欧州脱炭素政策にみる世知辛すぎる現実と理想

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EUがエンジン車の販売を2035年以降も容認すると発表した。世界中で普及が加速するBEVだが本当にこのまま拡大し続けるのか。

合成燃料がゼロ排出なワケ

合成燃料e-Fuelの製造に必要な工程と資源(画像:コンケイブレビュー)
合成燃料e-Fuelの製造に必要な工程と資源(画像:コンケイブレビュー)

 e-Fuelは、

・水(H2O)を太陽光/風力由来の電力で電気分解して発生する水素(H2)
・大気中から回収した二酸化炭素(CO2、2021年の世界平均濃度は415.7ppm)

を合成することで製造される液体燃料(炭素と水素の化合物)だ。つまり自動車が走行時に排出したCO2を製造時に消費するので、差し引き「ゼロ排出」と見なされる。

 大気からCO2を直接捕集する方法をDAC(Direct Air Capture)と呼び、上図のような、大がかりな設備が必要だ。

 ポルシェは7500万ドルを投じて、太陽光・風力発電とDACなどを組み合わせたe-Fuel製造工場を2022年からチリで稼働させており、2020年代末までに一般市場に供給することを目指す。

 スイスのクライムワークス、カナダのカーボン・エンジニアリングは、大型の商用DACプラント建設を進め、日本では川崎重工が研究・開発を進めている。

BEVより伸びているPHEVの販売数

CO2を大気中から捕集する装置DAC(画像:カーボン・エンジニアリング)
CO2を大気中から捕集する装置DAC(画像:カーボン・エンジニアリング)

 国際エネルギー機関(IEA)によると、世界全体のEV(BEVとプラグインハイブリッド車〈PHEV〉)の販売シェアは2021年の8.3%から2022年は

「13%」

まで着実に増加しているが、伸び率は2021年のプラス109%から減速している。一方、PHEVの伸び率は今後も拡大を続けると予測している。なお、販売は

・中国
・ヨーロッパ
・北米

の3地域が95%を占める。

 BEVは静かで、ゼロ回転から最大トルクを発生するモーターにより加速が良く、車内は広い。総合エネルギー効率は87~91%でエンジン車やe-Fuel車の16~25%よりはるかに高いが、電池のエネルギー密度はガソリンやe-Fuelの

「60分の1以下」

と低いため、航続距離は短く、暖房を使うとさらに20~40%短くなるので充電頻度が増える。

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