「空母への野望」尽きぬ韓国 尹政権60%不支持で、建造計画どうなる? 軍も「重空母」研究着手で今後見えず
韓国内には空母反対の声も

しかし、架空戦記なども手掛けたミリタリー系の元編集者は懐疑的だ。
「排他的経済水域(領海の外側に海岸の基線から測って200海里までの範囲内で設定される水域)が極端に狭い韓国で空母、対北朝鮮でもいらないでしょう。結局のところ、韓国の相手は北朝鮮なんです。北朝鮮相手に空母はいらないでしょう。陸戦が中心だし航空機をわざわざ空母で運ぶ距離でもない。そもそもアメリカの10万t級の原子力空母が「同盟国」としているわけで」
これは韓国内の反対意見とも一致する。
「韓国の国力に空母は浪費」(ソウル新聞、2021年)
という意見も採り上げられている。
「あと艦載機はどうするんでしょうね。空母を導入しても艦載機とそのパイロットの育成でつまずく国は多いんです。韓国の空母の艦載機はF35Bという話でしたが、その後の話は聞きません。韓国の場合、空母なんて考えず普通にF35Aを増やしたほうが効果的でしょう。予算的にも目的としても実現しないのではないでしょうか」
媒体の性格上、専門的な解説は本旨ではないため、割愛および平易に置き換えるが、空母に乗せる艦載機は滑走路が短かったり、カタパルトによる射出が必要だったりと、制約のあることが多い。
F35Aは通常離着陸機だが、F35Bは短距離離陸・垂直着陸が可能なストーブル機なので、そうした制約にとらわれない。日本の「いずも」「かが」は改修を経て、F35Bの配備(2024年度以降)を予定している。あくまで専守防衛のため、護衛艦の空母的運用のためという名目ではあるが。
「KF-21(ポラメ)という韓国の設計した戦闘機を艦載機(KF-21N)にする話もありましたがその後の話はないですね。いずれにせよ、仮に導入したとしてもパイロットの養成が必要ですし、4万5000tの空母となれば人員だけでなく維持費もべらぼうです。中国やインドが相次いで空母を就役させていますが、金食い虫の空母の建造競争につき合う必要はないと個人的には思います。建艦競争は軍事マニアとしては面白いですけど、現実は別問題でしょう」