エンジン不正発覚から1年 「日野自動車」が付きつけられた“三つの課題”とトヨタへの信頼回復、行く末に希望はあるのか

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大型バス・トラック等を生産する日野自動車が2022年3月、同社エンジンの排ガスと燃費に関する性能試験において、少なくとも2003年から不正を行っていたことを公表した。同社に未来はあるか。

今なお続くエンジン不正の影響

東京都日野市にある日野自動車本社(画像:(C)Google)
東京都日野市にある日野自動車本社(画像:(C)Google)

 大型バス・トラック等を生産する日野自動車(東京都日野市)が2022年3月、同社エンジンの排ガスと燃費に関する性能試験において、少なくとも2003(平成15)年から不正を行っていたことを公表した。国土交通省は該当するエンジン搭載車両の型式指定を取り消し、不正の対象車両は最大で11万5526台となった。

 これにより、主力トラックの出荷と生産は停止し、2022年の普通トラック販売台数で9年間続いた首位の座をいすゞ自動車に明け渡した。

 米国やオーストラリアでは2022年8月、トラック購入者らが親会社のトヨタ自動車も含めて売買契約等の取り消し等を求める集団訴訟を起こしている。

 日野はリコール費用、税制優遇追加納付費用、北米市場での補償損失のため、計680億円の特別損失を計上した結果、2022年度の通期業績予想を540億円の赤字に修正した(2022年10月に、60億円の黒字予想を公表)。

 なお、フォルクスワーゲンVW社は2016年6月、ディーゼル乗用車排ガス不正事件(対象台数47万5000台)で、米国の規制当局に対して総額1.5兆円の制裁金を支払うことで和解したが、乗用車用ディーゼルエンジン全体の燃費と排ガス性能に対する信頼を失い、世界の自動車メーカーのエンジン開発戦略にも影響を及ぼした。

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