日野自動車エンジン不正 「過去の栄光」「社内力学」にとらわれた機能不全企業に最後の光は差し込むか?
8月2日の行われた日野自動車の「調査結果および今後の対応」公表。同社は今後再生できるのか。
国交省が激怒するのも当然

国内トラック大手の日野自動車(東京都日野市)は8月2日、3月に公表したディーゼルエンジン不正事件に関する特別調査委員会(外部有識者に委託)の調査報告を踏まえて、「調査結果および今後の対応」を公表した。
筆者(北河定保、自動車ジャーナリスト)は排出ガスと燃費に関して
・虚偽の記載
・試験データの書き換え
が継続的に行われていたことにがくぜんとした。三菱自動車の燃費不正を踏まえて、日野自動車から「不正はない」との回答を受けていた国土交通省が激怒するのも当然だ。
日野は米国内の2工場で中型トラックを製造しているが、北米向けのエンジン3型式に、「米国法定エンジン認証試験の過程で課題が生じた」として、米国・カナダの2工場での車両生産を2020年12月末から2021年9月末まで停止した。3型式のうち、1型式は今回の不正対象だが、その後の情報はない。
調査委員会は、不正の真因を
1.みんなでクルマをつくっていないこと
2.世の中の変化に取り残されていること
3.業務管理の仕組みが軽視されていたこと
とし、日野自動車は開発プロセスと企業風土の改善に関する29項目の再発防止を立案した。
日野に限らず、当たり前のことができていないことが多い。これらを確実かつ持続的に実行することが第一歩だ。本稿ではまず、不正内容2点と背景を簡単に説明する。