エンジン不正発覚から1年 「日野自動車」が付きつけられた“三つの課題”とトヨタへの信頼回復、行く末に希望はあるのか

キーワード :
, ,
大型バス・トラック等を生産する日野自動車が2022年3月、同社エンジンの排ガスと燃費に関する性能試験において、少なくとも2003年から不正を行っていたことを公表した。同社に未来はあるか。

トラックの排ガス規制強化動向

大型トラックのNOx排出規制強化と保証寿命等延長計画(画像:Paccar)
大型トラックのNOx排出規制強化と保証寿命等延長計画(画像:Paccar)

 カリフォルニア大気資源局(CARB)は、排出ガス規制の段階的な厳格化を検討した。

 2022年12月に、2027年以降は窒素酸化物(NOx)排出量を2020年比で90%低減するとともに、2031年以降は排気浄化装置の耐用年数を12年/129万kg、保証壽命を10年/96万kgに延長することを提案した。環境保護局(EPA)は2027年以降の実施を目指す強化案を検討中だ。

 カナダの大手トラック業界紙「Trucknews.com」は、これによるコスト上昇は部品代だけで2万5000~3万米ドルと推定している。

 米国のトラックとエンジン製造協会は、複数の企業がカリフォルニア州市場から撤退する可能性を示唆している。

 欧州でも2022年11月に、Euro7が提案され、特にトラックとバスの規制が大幅に強化されるとともに、バッテリー耐久性規格、ブレーキとタイヤから排出される微細樹脂の規制等、BEVおよびバッテリー式電気トラック(BET)に対する新たな規制も含まれる。施行は2027年11月の予定だ。

日野が生き残る道…

BETとFCTの販売(赤字)と開発(黒字)状況‐横軸=車両質量 縦軸=航続距離(画像:IDTechEx)
BETとFCTの販売(赤字)と開発(黒字)状況‐横軸=車両質量 縦軸=航続距離(画像:IDTechEx)

 2022年、ダイムラー、ボルボとテスラは大型BETの生産を開始し、テスラは12月に大型BET「セミ」をペプシコ社に納車、2024年には年間5万台の生産を目指す。

 また、ダイムラーとボルボトラックの2社は合弁会社を設立し、2025年に燃料電池トラック(FCT)を発売する予定で、さらにVWの子会社であるトレイトンを加えた3社で合弁会社も設立し、欧州で大型トラックおよびバス向けの充電インフラの設置と管理を行う計画だ。

 日本では、ダイムラー・グループの三菱ふそうが、2017年から小型EVトラックを量産している。

 BETには大容量の電池により

「積載荷重と航続距離が減少する」

という大きな背反があるが、バイデン政権がインフレ抑制法で支給する1台当たり最大4万ドルの税額控除と、企業が自社の脱炭素化への貢献度を社会に訴求する需要もあり、トラック分野でも、中近距離輸送を中心に電動化が加速すると考えられる。

全てのコメントを見る