16戦15勝! 1988年のF1「マクラーレン・ホンダ」はなぜ無敵だったのか
1988年のF1で、マクラーレン・ホンダは、全16戦中15勝という驚異的な成績を記録し、コンストラクターズタイトルを獲得した。なぜここまで圧倒的な強さを誇ったのか。
圧倒的な成績を記録できたワケ

マクラーレン・ホンダは、翌1989(平成元)年の自然吸気エンジン初年度においても全16戦中10勝を挙げるなど相変わらず強力だった。この流れは1991年シーズンまで続いたものの、そのアドバンテージは次第に失われて行くこととなる。結局ホンダは1992年シーズンをもってF1活動を休止することとなる。
ホンダが1988年シーズンにおいて圧倒的な成績を記録した背景とは何か――。それは既述したとおり、過酷かつ急激な規制に対して後れを取らざるを得なかったライバルに対して、迅速かつ的確な対応を行うことができたことである。
思えば1970年代初め、対応不可能とされた過酷な排ガス規制であるマスキー法に対して、ホンダはCVCCという希薄燃焼技術を提案し、規制をクリアして見せた。厳しい条件下でこそホンダは底力を見せる。その結果として活路を見いだすことができたというわけだ。
そして現代、ホンダはF1から距離を置いてはいるが、F1そのものを完全に諦めたわけではなく、基礎研究は継続されている。これは、空白期間こそが技術開発における最大のウイークポイントであることを思えば当然である。
折しも時代はカーボンニュートラルに向けて多くの自動車メーカーが大きくかじを取っている様にも見える。そうした状況のなか、世論的に内燃機関の存在意義は希薄化する一方ではある。
ただしカーボンニュートラルにも大きな課題は山積しており、内燃機関からの完全脱却は容易ではないだろう。ならばホンダの内燃機関技術が逆境をはね返す日がまた来るのではないか。いや来てほしいと考えているホンダファンと内燃機関ファンは少なくないはずである。