運送会社の「営業担当」はなぜ成長しないのか? 背後に古びた業界構造 新規案件つぶされ、雑用要員も――という絶望
「せっかく仕事を取ってきても現場から断られてしまう」「営業担当のはずなのに、なぜか毎日トラックに乗っている」。こんな悩みを抱える運送会社の営業担当者は少なくない。なぜ、こんなことになるのだろうか。
「現場の意見が絶対正義」、運送会社をむしばむ病理的悪習

「倉庫を見てくださいよ、新たな貨物を置くスペースはありませんよ!」「トラックですか? 空いてないですね。新規案件? 空きトラックがどこにあるんですか!」。持ち帰った新規案件を現場責任者らに打診した鈴木氏は、途方に暮れた。ことごとく、現場から断られてしまったからだ。
これは、秋元運輸倉庫に限った話ではない。
筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)自身、運送会社で営業担当として働いていたときに、同様の経験をしたことがある。あるときなどは、既に取引のあった顧客から、筆者宛てに突然、お叱りの電話がかかってきたことがあった。
「あなたね、ウチが打診している仕事を断るってどういうことだよ!」
筆者にはまったく覚えがなかった。怒りのあまり興奮状態にある顧客担当者をなんとかなだめ、話を聞き出したところ、こちらのドライバーが新規案件を勝手に握りつぶそうとしていたことが判明した。
その顧客担当者が、新規輸送案件についてドライバーに打診したところ、ドライバーは愛想よく「ありがとうございます! さっそく、会社に報告し、お返事しますね」と答えたらしい。
ところが待てど暮らせど返事がない。業を煮やした顧客担当者がドライバーに確認したところ、「営業の坂田(※筆者)には相談しているのですが…」と答える。それが何度も続き、ついに顧客担当者の堪忍袋の緒が切れて、クレーム入電となったのだ。筆者は相談など、全く受けていなかった。
「きつそうな案件だったので、やりたくなかったから(断った)」。理由を聞かれたドライバーは即答した。当人が担当すると決まっているわけでもないし、なにより会社の信用を損ないかねない。困ったものである。