人はなぜ「スイッチバック」に魅かれるのか? 鉄道ファン歴40年のライターが考えてみた

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鉄道ファンのこころをくすぐるスイッチバック。旅客列車で体験できるものは全国に少なくとも「13か所」あるとされている。

路線存続のカギになるケースも

スイッチバックの案内板(画像:写真AC)
スイッチバックの案内板(画像:写真AC)

 島根県松江市の宍道駅と広島県庄原市の備後落合駅を結ぶJR木次(きすき)線では廃止が取りざたされているものの、スイッチバックの存在が路線存続の一助になろうとしている。

 木次線の出雲坂根~三井野原間に三段式スイッチバックがある。三井野原駅はJR西日本管内で最高所(標高726m)にある駅として知られている。ただ、木次線の経営は厳しく、2022年に話題となったローカル線の収支公表では、路線の出雲横田~備後落合間はワースト2位だった。

 路線存続の一助として、2022年秋に奥出雲町の奥出雲鉄の彫刻美術館で開催されたのが「鉄道マンガ展@奥出雲」だ。企画したのは前述の『鉄子の旅』に登場する編集者の江上氏である。

 この展示、鉄道マンガの原画を展示しただけではない。なんと江上氏は、現地に泊まり込んで、150分の1のスイッチバック区間のジオラマを作成&展示したのだった。本人の強い鉄道愛ゆえだが、スイッチバックは人をそこまで熱くさせるのだ。

スイッチバックの魅力とは何か

姨捨駅(画像:写真AC)
姨捨駅(画像:写真AC)

 いったい、スイッチバックの魅力とは何だろうか。なぜここまで、人を熱くさせるのだろうか――。鉄道ファン歴40年の筆者(猫柳蓮、フリーライター)が少し考えてみた。

 ひとつは、長大トンネルが不可能だった時代に峠を越える手段としてつくられた先人たちの努力の結晶であるということ。そして、乗車したときの独特の乗り心地だろう。折り返し、ゆっくりと確実に坂を登っていく様は列車の力強さを感じさせる。そして、上りであれば見えてくるのは雄大な景色だ。篠ノ井線の姨捨駅(長野県千曲市)はスイッチバックの先にある絶景の代表格だ。

 つまり、

・先人の努力を感じるレトロさ
・今も感じる列車の力強さ
・絶景

といったところだろうか。そうした要素が相まって、感情を揺さぶるのかもしれない。読者の意見も聞いてみたいところだ。

 そして、もしあなたがスイッチバックをまだ体験したことがないなら、すぐにでも旅に出てみよう。春の青春18きっぷは3月1日からスタートだ。

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