トラック事故死「年間400人超」 ドライバー頼みの安全対策すぐ止めて、運送業界はAIに投資せよ
運送業界、特にトラックの安全性の改善は急務だ。現在トラック運送業界が抱えている問題やその対策案について考える。
AI取り入れた運送システム導入が鍵
![トラックによる重大事故の発生件数。国土交通省の資料を基に作成(画像:山下駿)](https://merkmal-biz.jp/wp-content/uploads/2023/02/230217_truckjiko_03.jpg)
人間である以上、「安全運転をしよう」といった意識だけに頼った対策では不十分であるというデータは、過去に国土交通省が出している事故の推移から分かる。それでは、今後は一体どのようにして運送業界から事故をなくせばいいのだろうか。筆者は、人に足りないものを最新の技術で補う姿勢が重要だと考える。
運送システムの改善として、米国は既に、世界に先駆けてトラックの自動運転技術の開発を進めている。実現すれば安全性と生産性を向上させ、運転手にかかる心身への負担を軽減できるだろう。人工知能(AI)の活用方法は自動運転だけではないので、他にも紹介しておこう。
・入出荷作業の自動化
・棚卸し作業などの無人化
・在庫の需要予測
・危険運転予測・予知
・配送ルート最適化
これらの場面では既にAIが活躍しており、人的負担の低減や業務の効率化に一役買っている。こうした最新技術、AIなどの利用は、労働環境の改善によるドライバーへの負担軽減を見込むことができるだろう。
もちろん、導入に際してコスト面やAIへの理解が行き届かず、ためらってしまい、浸透しにくい現状もある。しかし、安全性を最重要課題とするのであれば、導入コストよりもリターンの方が大きいのではないだろうか。
例えば、効率化による労働時間の短縮は、無理のある業務環境よりも、ドライバーの心身への負担をずっと減らせるだろう。これにより運転中の急な体調不良を減らすことも期待できる。他には、トラック用の「巻き込み事故防止AIカメラシステム」というものも存在する。車載カメラから得た映像をAIアルゴリズムで解析し、危険を予知するとドライバーに警報などで伝えるというものだ。