公道「テストカー」のボディ柄は、なぜあんなに気持ち悪いのか? その裏にあった一歩先行く企業戦略とは

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テストカーによる公道走行とは何が目的なのか。

複合戦略のたまもの

フォード・マスタング。こちらは昔ながらの偽装例。2008年7月撮影(画像:矢吹明紀)
フォード・マスタング。こちらは昔ながらの偽装例。2008年7月撮影(画像:矢吹明紀)

 公道でのテストカーのディテールをわかりにくくすると同時に、SNSを舞台としたある種の話題作りを行う。おそらくこの案を考えたデザイナーにとって

「気持ち悪い」
「ヘンな模様」

と思われたこと自体が成功であり、そうした模様のテストカーの映像がSNSにあふれればあふれるほど、無数の広報担当者が活動したことにも等しかったということである。

 ちなみに、現在ではこうした偽装目的以外に最初からSNS上での目撃情報拡散を想定した特殊な偽装(もしくは偽装風のラッピング)を行うことは新型車プロモーションの世界では常とう手段となりつつあり、近年では特に偽装の必要も無いレベルで車両情報が拡散していた新型トヨタ・スープラや新型シボレー・コルベットで見ることができた。

 自動車メーカーにとって、公道での走行テストは依然として必須なことである。これは間違い無い。しかしその存在をただ隠すだけではなく、重要な箇所をわかりにくくしつつも情報拡散時代に合わせたプロモーションに結びつける。

 誠に見事な複合戦略の結果こそが、こうした「気持ちの悪い見た目」の正体不明なクルマたちだったというわけである。

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