「荷主にもペナルティー」 国の新方針を物流企業が能天気に喜べないワケ
物流の主役は、物流企業か、それとも荷主か?

今回発表された、「物流効率化に向けた荷主へのペナルティー制度」について、もし手放しで喜んでいる運送会社の経営者がいたらとしたら、それは経営者、あるいは運送のプロフェッショナルとして、どうかと思う。これは、倉庫会社も同様である。
なぜならば、これは「物流企業の皆さんに物流効率化を期待するのは、分不相応でしたね」とも取れる、国の方針転換だからだ。
筆者の執筆記事に限らず、Yahoo!ニュースにアップされる物流関係記事へのコメント欄を読んでいると、たびたび物流関係者からと思われる「現場を知らないな、このライター」という趣旨のコメントを目にする。こういったコメントは、物流の課題を提起し、改善策を紹介、あるいは提案する記事に対して散見される。
気持ちは分かる。筆者もトラックドライバーだったし、倉庫業務の実務にも関わっていた。現場をよく知る人ほど、「現場こそ絶対」だと思ってしまう心理はよく分かる。何をするにも荷主にお伺いを立てなければならないし、改善や効率化の提案をしたところで、荷主から拒否されることも多い。
運送会社、倉庫会社の、「現場を変えるチカラ」は、実は乏しいのだ。かくして、「現場では変えられない」という、物流企業側の諦めにも近い認識が出来上がるのだ。
「ふざけるな!」と思う物流企業の皆さまは、ぜひ荷主に対し、正しい物流効率化をレクチャーする立場になってほしい。物流のプロフェッショナルとして、物流の効率化を先導できるようにならなければ、物流ビジネスの主導権は、今よりもさらに荷主側に握られることになるだろう。
荷主サイドも、「荷主へのペナルティー制度」には不安を感じている。その不安を解消し、ともによりよい物流を実現するのは、これまでも荷主の大切な貨物を取り扱ってきた運送会社、倉庫会社といった物流企業であるべきだ。
荷主の意向に唯々諾々と従うだけの存在から脱却することが、将来も生き残る物流企業の条件となるはずだ。