運賃10円値上げ賛成も、車いす・ベビーカーに優しくない乗客たち 「駅のバリアフリー化」を阻むものは何か?

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ホームドアなどのバリアフリー設備を整備するため、運賃を10円値上げする――。全国の鉄道事業者で現在、このような動きが広がっている。

バリアフリー化が進む駅

点字ブロック(画像:写真AC)
点字ブロック(画像:写真AC)

 ホームドアなどのバリアフリー設備を整備するため、運賃を10円値上げする――。全国の鉄道事業者で現在、このような動きが広がっている。いま、交通機関のバリアフリー化の波は新たな段階を迎えている。

 2000(平成12)年に交通バリアフリー法(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律)、2006年にバリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が施行されて以来、国内の交通機関ではバリアフリー設備の設置が進められてきた。

 全国の鉄道・モノレールなどの駅のうち、1日平均3000人以上が利用する3251駅で見ると、

・段差が解消された駅:3090駅
・点字ブロック設置駅:3158駅
・障害者対応トイレのある駅:2832駅

となっており、国土交通省が設定した目標をほぼ達成している(2020年度末時点)。また、車いすスペースや案内装置の設置など、車両のバリアフリー化も進んでいる。主要駅に関していえば、ここ20年でバリアフリー設備はほぼ整ったといえる。

 国土交通省は利用客が1日平均2000人以上の駅も含めて、バリアフリー設備の原則100%達成を目指すとともに、ホームドアも3000番線の設置を目指している。ホームドアは2020年度末時点で943駅、2192番線に設置されている。これを3000番線まで増やすのは、あと少しのように見える。

 しかし、整備にはまだ膨大な予算が必要だ。そこで、2021年12月に国は鉄道会社がバリアフリー設備の整備にかかる費用を「バリアフリー料金」として運賃に上乗せできる制度を策定した。これを受けて、鉄道会社各社では2023年3月以降、料金上乗せの準備を進めている。

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