運賃10円値上げ賛成も、車いす・ベビーカーに優しくない乗客たち 「駅のバリアフリー化」を阻むものは何か?
ホームドアなどのバリアフリー設備を整備するため、運賃を10円値上げする――。全国の鉄道事業者で現在、このような動きが広がっている。
駅利用者への啓発も必要

また、現在進められるバリアフリー化を達成しても、それは新たなスタートにすぎない。
バリアフリー化が進んでいる首都圏でも、サポートを必要とする人を考えた設備が充実しているのは、高輪ゲートウェイ駅くらいだ。同駅は2020年に誕生した新駅で、建築時点で設備が十分に考えられている。
例えばホームのエレベーターは2基で定員は18人と24人と、一般のものより大型だ。それらの設備を利用する導線もわかりやすい。
しかし、追加工事でエレベーターなどを整備した多くの駅では、駅構内を長距離移動しないと利用できない。文字通り
「取って付けた」
ような感じなのだ。今後は、設備水準を向上させることが新たな課題になる。
また、駅利用者への啓発も遅れている。車いすやベビーカーのを利用する人が並んでいても、健康そうな人たちがわれ先にと利用する光景もよく見かける。そうなると、設備はいったい誰のものなのかといった疑問すらわいてしまう。彼らが楽するために設備は存在するのではない。