2輪界隈に蠢く懲りない面々! 原付「書類チューン」は違法、無免許運転で免許取り消しだ

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排気量を上げていないのに虚偽の上位排気量を記載してナンバーを取得する「書類チューン」。書類チューンは任意保険で虚偽申告となる。つまり保険金が支払われない可能性があるのだ。

「書類チューン」とは何か

スクーターに乗る人(画像:写真AC)
スクーターに乗る人(画像:写真AC)

「そうはいっても、30km制限じゃ免許いくつあっても足りないよ」

 もう20年も前の話だが、50ccスクーターがいつも気になっていた。高齢の商店主が近場の移動やチラシ配りに使っていたが、気になった理由は「黄色ナンバー」だったからだ。つまり51ccから90cc以下の原付2種、免許制度上の小型限定普通2輪免許である。

 本稿では同様の91cc~125ccのいわゆる「ピンクナンバー」も含め「原2」とするが、50cc以下の原動機付自転車(白ナンバー、原付1種)と違い、制限速度30kmの制限もなければ、指定交差点における2段階右折も必要ない。

 しかし、この50ccスクーターには上位排気量の車種もなければカブ系(ホンダのスーパーカブのエンジンを使った車種)のような社外のボアアップ(排気量を上げる改造手段)のキットもない。さすがに自作加工でボアアップも現実的ではないだろう。だから気になっていた。

 これは、いわゆる「書類チューン」ではないかと。

「うん、52ccで登録してる」

商店主が笑顔であっけらかんと話してくれたことを覚えている。重ねるがボアアップとは排気量を上げる改造を指し、「書類チューン」とは排気量を上げていないのに虚偽の上位排気量を記載してナンバーを取得する行為を指す。

 ここでは原付全般のみの話とするが、当該免許を所持した上で50ccの原1を52ccや88ccにボアアップしてナンバーを取得すれば制限速度30kmの制限も指定交差点における2段階右折も必要なくなる。

 この行為自体は問題のない行為で、例えばカブ系エンジンなどでオーバーサイズピストンを入れて黄色ナンバーにする行為は古くから行われている。最近では人気アニメ『スーパーカブ』(原作元はネット小説)のなかで、ヒロインが原2免許を取得後に愛車のカブをエンジンブロック修正でボアアップしたとする設定が描かれている。

 また、ボアアップ用の市販キットも売られていて、キタコの88ccボアアップキットなどはお世話になったライダーも多いだろう。筆者(日野百草、ノンフィクション作家)も昔はホンダのゴリラやジャズをこうしたボアアップで黄色ナンバーにした思い出がある。きちんと届け出ている限り、まったくの合法である。

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