「東京ディズニーランド」「東京ドイツ村」 なぜ千葉県の大型施設には「東京」がよく使われるのか

キーワード :
, ,
千葉県では大型施設の名称に「東京」が頻繁に使われている。なぜか。千葉県のイメージの変遷をたどる。

農業や漁業が盛んだった千葉県

千葉県の田園風景(画像:写真AC)
千葉県の田園風景(画像:写真AC)

 しかし、これだけでは千葉県の状況を説明しきれないだろう。千葉県の都市開発を振り返るとそのヒントがあるかもしれない。都市開発における千葉県の方向性を考えるに、まずかつてのリゾート開発を振り返ってみたい。

 1987(昭和62)年に総合保養地域整備法(リゾート法)が制定され、東京からの日帰り圏で、海に面して豊かな自然を持つ千葉県にも白羽の矢が立った。当時のリゾート開発計画の机上においては、同じように東京からの日帰り圏で海に面する神奈川県との対比がよくなされている。

 神奈川県は昔から著名人の別荘や緑の地が多くあってハイソサエティなイメージがあり、地形が比較的起伏に富んで多彩な観光資源に恵まれていた。また、横浜は港町の景観とおしゃれな雰囲気から、すでに若者のデートスポットとして人気を博していた。

 それに対して、当時の千葉県は農業や漁業が盛んだったことから漁港や里山ののどかな景観が広がっており、海水浴などファミリーレジャーのよい受け皿であったが、残念なことに当時の行政やデベロッパーにこのような資源への興味はなかった。なぜなら、バブル期のレジャーは高額支出するカップルがメインターゲットで、特に

「若い女性」

が重視されたからである。

 千葉県においては、田舎っぽいイメージをおしゃれに刷新する方向に開発のベクトルが向いた。

・リゾートホテル
・リゾートマンション
・分譲別荘
・ゴルフ場
・ヨットハーバー

などが計画され、元々の自然を生かすというよりは、すべて異なるものに作り変える勢いであった。

全てのコメントを見る