就役は1930年! 太平洋戦争で数万人の邦人を救った「氷川丸」の記憶とは
国の重要文化財に指定されている船舶3隻のうち、横浜市の山下公園に係留展示されている氷川丸。すでに船齢90年以上を数えるこの船がたどった太平洋戦争の軌跡とは。
船齢90年以上、商船史の生きる証人

今は博物館船の「日本郵船氷川丸」として静かに山下公園の埠頭にたたずんでいる氷川丸ではあるが、船齢はすでに90年以上。日本郵船関係者の地道な努力によって、船体および船内設備ともに美しく保たれている。
今後も長くわが国の商船史の生きる証人として保存していきたい名船であり、より多くの人に身近に感じてほしい存在でもある。
入館料300円。休館日は毎週月曜日(臨時休館日あり)。週末には上甲板が開放されるオープンデッキも行われている。
なお、個人的に一番興味を引かれるのは、氷川丸に搭載されている2基の主機であるディーゼルエンジンである。
それは1930(昭和5)年当時最新鋭だったデンマークのバーマイスター&ウェイン社製の直列8気筒4ストロークサイクル複動ディーゼルというもの。
複動というのは聞き慣れない言葉だが、通常のレシプロピストンエンジンとは異なり、ピストンの上下両側に燃焼室がある特殊な構造である。
限られた機関室容積に対して高出力と優れた燃料消費率を両立できる機関として、1930年代を中心に商船から軍艦まで4ストロークサイクルと2ストロークサイクルの両バージョンが、多くの船舶に採用された。