「マスク拒否」ばかり論じるな! ピーチ運航妨害の主題は「航空法違反」と安全阻害行為だ
今回の件にマスク着用有無は無関係

筆者(日野百草、ノンフィクション作家)は本文中、ここで初めて「マスク」と書いた。なぜならこの通り、事件は航空法違反の話であってマスクは関係ないからである。
「マスクをするしないは好き好き」
で、日本政府は法的権限でマスクの着用を強制していない。しかし先にも言及した通り「マスク着用」を決めている企業や医療施設、サービスはある。それもまた「好き好き」であり、それが気に入らないのなら「使わない」という選択肢がある。それを消費者として強行するなら単なる目的外利用でしかない。
2019年、ビーマン・バングラデシュ航空147便に乗った男が「バングラデシュの首相と自分の妻と話がしたい」と要求して特殊部隊に射殺される事件があった。
日本では執行猶予で済む。話がしたいと要求することとマスクをしないと要求すること、銃器所持の有無はあるにせよ、実のところ航空法において同列の安全阻害行為であり、それがバングラデシュなら射殺、日本なら執行猶予ということだ。
マスクをするしないは自由だし、ノーマスクを主張するのも自由だが、マスク着用の有無を決める側もまた自由である。ましてや客の「使わない」は自由だが「降ろす」は航空会社の判断であると同時に、航空法に定められた法律でもある。
もちろん、マスク着用の難しい方はどうするのか、という問題はあるが、だからといって機内暴力と航空法違反という飛躍につなげるのは「普通の人」が考えるなら無理な話である。
そもそも、なぜ航空法がここまで世界中で厳しいのか考えてみてほしい。墜落すれば機内の数百人どころか地上の数千人も犠牲にするだけでなく国体をも揺るがしかねない。それを日夜、日の丸を背負い安全運行に尽くす航空関係者たちがいる。当たり前に飛んで当たり前に着く飛行機の「当たり前」は多くの人たちの「職務」によって支えられている。
最後に繰り返し書く。この件にマスクはまったく関係ない。あるのは航空法と、それを脅かした安全阻害行為だけだ。