「募集しても…」深刻化する港湾労働者不足 4割の事業所で荷役などに影響 国交省調査

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国土交通省が「2020年度港湾労働者不足に関する実態調査」を公表。事業所の過半数で港湾労働者が不足しており、約4割以上の事業所で港湾運送に影響が生じていることが分かった。

港湾労働が不人気である理由は何か?

港湾労働の現場への人気がない理由(主なものを5つ以内選択)(画像:国土交通省)。
港湾労働の現場への人気がない理由(主なものを5つ以内選択)(画像:国土交通省)。

 港湾労働者の不足が深刻化している。

 国土交通省が2021年5月に公表した「2020年度港湾労働者不足に関する実態調査」では、事業所の過半数で港湾労働者が不足しており、約4割以上の事業所で港湾運送に影響が生じていることが分かった。

 常用労働者(計3万4883人)のうち96%が男性。年齢別だと45~49歳の割合が最も多く15.8%で、若年層は少ない結果となった。

 直近3年の港湾労働者の採用数(定年後の再雇用を除く)は計6314人で、うち新規は35%、中途は65%だった。

 新規採用者の採用ルートで最も多かったのは高校への求人(37%)で、以下、ハローワーク26%、縁故18%、求人サイト16%、港湾関係教育機関(港湾短大など)への求人13%など。一方、中途採用者の採用ルートは、ハローワーク48%、縁故43%、求人サイト29%、自社ホームページ15%、求人広告13%などの順だった。

「港湾労働の現場への人気がない理由」(主なものを5つ以内選択)は、「労働環境(暑さ・寒さなど)が厳しい」が最も多く70%で、以下、「土日祝日勤務がある」50%、「魅力的な職種と思われていない」50%、「世間での職種としての認知度が低い」46%、「勤務時間が不規則」40%、「危険な業務がある」35%、「賃金が不十分」32%、「重労働の業務がある」31%、「休日が少ない」15%、「労働時間が長い」12%、「家族の育児・介護」8%、「高所作業がある」1%、「その他」13%という結果だった。

 2019年の港湾労働者就労延人員(人日)のピークは3月(27%)、7月(14%)、12月(12%)だったのに対し、ボトムは1月(25%)、2月(23%)、8月(13%)で、ピークの前後の月にボトムが発生している。

 このような業務量の変化(波動性)への主な対応方法としては、「残業・休日出勤」が最も多く74%で、以下、「自社の他の部門・営業所からの応援」48%、「他社への下請け」29%、「日雇労働者」20%、「港湾労働者派遣制度(6大港)」9%、「受注量の抑制(他社が受注)」8%、「その他」5%だった。

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