「募集しても…」深刻化する港湾労働者不足 4割の事業所で荷役などに影響 国交省調査

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国土交通省が「2020年度港湾労働者不足に関する実態調査」を公表。事業所の過半数で港湾労働者が不足しており、約4割以上の事業所で港湾運送に影響が生じていることが分かった。

労働者不足で、大型船や休日・夜間の荷役が困難に

港湾労働者の人手不足感の推移と見通し(画像:国土交通省)。
港湾労働者の人手不足感の推移と見通し(画像:国土交通省)。

 港湾労働者の雇用状況(人手の過不足)については、2019年度下期で「不足・やや不足」が55%、「過剰・やや過剰」が3%だった。2020年度上期は新型コロナウイルス感染症の影響で不足感が緩和し「不足・やや不足」が36%、「過剰・やや過剰」が20%となったが、今後5年間・10年間の見通しでは「過剰・やや過剰」が3~4%なのに対し「不足・やや不足」の回答は63%に上っている。

 港湾労働者の不足による港湾運送への影響は、41%が「影響あり」、45%が「影響なし」、13%が「無回答」だった。

 影響が生じている場合の具体的な内容(該当するものを全て選択)は、「平日でも入港隻数が多いと船社の希望日に荷役ができない」が最も多く25%で、以下、「休日の荷役が困難」23%、「夜間の荷役が困難」20%、「二交替・三交替による連続荷役が困難」18%、「大型船の荷役が困難」10%、「一部の取引先の荷役を断っている」6%、「その他」7%だった。

 労働者不足に対応するうえでの懸念や課題(自由回答)は、「波動性の高い業種であるため、繁忙期に見合った人員を確保することはコスト面でリスクがある」「若者の港湾作業離れが深刻であり、機械化・環境改善が急務」「作業者の高齢化・経験不足に伴う労働災害発生リスク増加」「募集しても電話すらかかってこない」といった声が寄せられている。

 取引先への要望としては、「港湾労働者の確保のため、適正な料金の収受が必要であることを理解して頂きたい」「港湾労働者不足のため、荷役調整が必要なことを理解して欲しい」「港や保税倉庫を自分の倉庫代わりに使う荷主が存在」「当日オーダーや詳細な専用請求書作成要請、軽微な汚破損での買取請求など、事務負担や低収益につながる商慣習を見直して欲しい」などの意見があった。

 調査は2020年12月から2021年1月にかけて実施。回答者数は560者(支店算入で1154者)で、回答率は48.5%だった。

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