広島市の借金は1兆円以上! 路線バス「上下分離」で大注目も 財政は指定都市最低レベル、乗ったのはバスか、それとも“火の車”か

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広島市が市内を走る路線バス維持に向け、上下分離方式を導入する方針を固めた。路線バスを社会インフラととらえた全国初の取り組みで、近く国に新たな財政支援を求める方針だ。

厳しい財政状況が懸念材料

広島市内のバス停(画像:写真AC)
広島市内のバス停(画像:写真AC)

 バス事業の上下分離は青森県八戸市で検討されたことがあるが、実現に至っていない。実現すれば全国初となるだけに、全国の自治体やバス事業者が注目している。しかし、懸念材料はある。広島市の財政状況だ。

 広島市は1994年のアジア競技大会開催に失敗し、巨大な市債の山を築いた。その後も政府の景気浮揚策に歩調を合わせて積極的な財政支出を続け、財政破たんが心配される事態を招いている。

 この危機は2度にわたって実施された財政健全化計画で持ち直したものの、財政指標の将来負担比率(実質的な負債の標準財政規模に対する割合)や実質公債費比率(公債費による財政負担の度合い)を見ると、京都市や北九州市などと並んで

「政令指定都市最低クラス」

に位置する。

 2022年度一般会計予算の歳出は、人件費や公債費などの義務的経費が約半分を占める。市の借金に当たる市債発行残高は2021年度末で約1兆1400億円と、一般会計当初予算の2倍近い額が残っている。総務省の住民基本台帳人口移動報告では、人口は2021年まで5年連続の転出超過で、いつまでも今の税収を維持できるとは限らない。

 路線バスへの上下分離導入は、国の支援内容次第で広島市が膨大な持ち出しを強いられる可能性もあるだけに、決して楽観できない財政状況だ。

 ただ、将来の人口減少を考えると、自治体の積極的な関与なしに現在のバス路線をすべて維持するのは難しいと見られる。路線バスの「広島モデル」を実現するために、国からどれだけの新たな支援を獲得できるのか、正念場はこれからだ。

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