湘南モノレールは「サーフィン嫌い」も魅了する! 過去には「乗って大丈夫か」と揶揄もICカード導入で近代化、その軌跡を振り返る

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湘南モノレール沿線が盛り上がりを見せている。いったいなぜか。その理由について解説する。

湘南エリアの通勤通学インフラ

湘南モノレール(画像:写真AC)
湘南モノレール(画像:写真AC)

 湘南エリアの人口が増加している。総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査(2022年1月1日時点)によると、同エリア東部に位置する藤沢市の人口増加率は0.83%(3600人)で、県内トップだった。

 同エリアの動向を調べたところ、鎌倉市は2020年に17万2710人だった人口が2022年11月時点で17万2343人となっている(市役所の統計)。減少しているように見えるが、世帯数は7万5722世帯から7万6949世帯(1.6%増)に増加している。人口動態調査を見ても、転入が転出を上回っており、死亡による減少はあるものの、転入者が多いことがわかる。

 そんななか存在感を強めているのが、湘南モノレール(神奈川県鎌倉市)が運営する、鎌倉市の大船駅から藤沢市の湘南江の島駅までを結ぶ湘南モノレール江の島線(以下、湘南モノレール)である。湘南エリアの通勤通学インフラとして、その価値は大きい。

生活路線としてのパフォーマンスも

湘南海岸公園駅の位置(画像:(C)Google)
湘南海岸公園駅の位置(画像:(C)Google)

 不動産・住宅に関する総合情報サイト「SUUMO」が2022年10月に発表した「~SUUMO 住民実感調査 2022~「住み続けたい街ランキング 首都圏版」」を見ると、江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)の運営する江ノ島電鉄線の湘南海岸公園駅が1位にランクインしている。

 筆者(大居候、フリーライター)は先日、別の取材で湘南エリアを訪れる機会があったが、湘南モノレールの価値を改めて感じた。湘南海岸公園駅周辺の住みやすいエリアといえば、公園や海水浴場のある海側をイメージしがちだが、実際は山側が住みやすいのである。

 駅の北東にある片瀬諏訪神社から南下した湘南江の島駅にかけてのエリアは、小規模とはいえ商店街もある。かつ、最近は移住者が新しく開いた店も増えている。古くからの住宅地ゆえに物件は出にくいものの、移住希望者が多いという。

 湘南海岸公園寄りのエリアよりも、江ノ島寄りのエリアのほうが二線(湘南モノレール、江ノ島電鉄線)を利用できるし、かつ、大船駅経由で都心に近い。さらに始発駅のため、都心に通勤する場合も

「途中まで座っていける」

のが人気理由のようだ。湘南モノレールは多くの人にとって、江ノ島へ出掛ける際の観光路線として認識されているが、実際には生活路線としての利便性が高いのである。

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