山形新幹線「米沢トンネル」計画 1500億円かけてわずか「10分強」のスピードアップは高いか安いか、それとも未来に向けた必須投資なのか
山形県とJR東日本が「山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備計画の推進に関する覚書」が交わした。事業費はなんと1500億円。採算は取れるのか。
運休・遅延が頻発する理由

そんな山形新幹線だが、雪や動物との衝突による運休・遅延が頻発している。これは、致命的な欠陥といっていいだろう。その理由は、新幹線の路線を新設したのではなく、在来線を改造した路線だからだ。
とりわけ雪害に対しては、JR東日本もさまざまな対策を講じてきた。2001(平成13)年には積雪による倒木が線路や送電線に影響を及ぼすことを防ぐため、大規模な立木伐採と枝払いを実施している。
この作業は当初、JR所有地内でしか実施されていなかったが、沿線の私有地に拡大。所有者と交渉して実現している。その結果、運行への影響を多少減らせられたものの、運休はまだ少なくない。
山形県が独自に集計した運休・遅延状況によると、2016年度の山形新幹線の運休・遅延は196本で、そのうち
・豪雨:57本
・大雪:58本
・強風:12本
と、普通列車を含め約7万5000人の足に影響が出ている。また、福島県との県境部ではカモシカ、クマ、イノシシなどとの衝突でたびたび遅延が発生している。
この対策案として浮上したのが、今回合意に達した新トンネルの建設案だった。計画は、2017年11月にJR東日本が山形県へ試算を示したことで始まった。
・トンネル延長:約23km
・工期:約15年
・事業費:1500億円
の巨大な計画だ。その見返りは、遅延・運休の減少と
「10分強」
の時間短縮効果である。魅力的な計画ではあるが、1500億円という事業費がネックとなり、なかなか計画は進まなかった。
そんな計画がここに来て進展したのは、言うまでもなくコロナ禍の影響だ。山形新幹線は大きな打撃を受け、2018年度に約330万人だった利用者は、2021年度に64%減の118万人にまで落ち込んだ。