国内にわずか5台! コマツの「水陸両用ブルドーザー」は、どんな現場で使われているのか?

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世界に知られる建機メーカー、小松製作所。なかでも特徴的なのが、他に類を見ない水陸両用ブルドーザーだ。全国にわずか5台、どのような現場で活躍しているのか?

間もなく半世紀、異例の耐用年数

 コマツD155D-1は、その改良型の登場からすでに40年超え、4年後の2026年には半世紀を迎える。

 建機や農機は、一般人の多くが思うよりはるかに耐用年数が長く、30年や40年使われ続けている個体はそれほど珍しくはないが、水陸両用ブルドーザーのように特殊かつ過酷な環境で使用される個体で、50年近くも使われ続けるというのは異例である。

 現在5両在籍している個体それぞれは、平成を過ぎ令和に入ってからもオーバーホール時などに地道な改良が加えられてはいるものの、基本的には建機としては旧式であることは否めない。

 操縦にあたっては、エンジンの排気音や排気煙の状態から、機器類に掛かっている負荷を判断するといった職人技が要求される部分も多いという。

 しかし昨今のさまざまな災害復旧現場や水中作業が要求される現場においては、依然としてその出動要請は多く、より作業性に優れ環境性能も高めた新型機が求められているとも言われている。

 しかし需要が多いとはいえ、その数は日本全国で行われている工事の中では少数であり、新型機開発に対するコストが見合わないというのもまた正直なところであろう。

 旧式な構造、職人技を要求されるオペレーター。こうした21世紀には見合わないスペックや運用方法も、需要を考えれば決して時代遅れとは言えない。

 わが日本の建機開発運用技術が生み出した名機中の名機として、むしろ誇るべき存在であり、可能な限り現場にあってほしいと願う1台である。

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