国内にわずか5台! コマツの「水陸両用ブルドーザー」は、どんな現場で使われているのか?
世界に知られる建機メーカー、小松製作所。なかでも特徴的なのが、他に類を見ない水陸両用ブルドーザーだ。全国にわずか5台、どのような現場で活躍しているのか?
河川工事や水害復旧で活躍
以来、国内向けに22両、海外向けに14両、合わせて36両が生産され、河川周辺の各種工事、水路確保のための浚渫(しゅんせつ)作業、港湾建設および補修工事、人工リーフや人工ビーチの建設、そしてさまざまな水害復旧工事といった浅水作業域において、現時点で1000件を超える工事実績を記録している。
ちなみに水陸両用ブルドーザーの運用については、過去から現在まで実際に行った会社は多くはなかった。
これは、その特殊性を考えれば当然のことである。現在D155W-1を運用している青木あすなろ建設は、その前身企業だった小松建設工業時代の1971(昭和46)年に機材を導入しその運用を開始。
現在までに導入したD155W-1の数は、国内向け台数の大半に相当する17両を数えており、現時点でD155W-1を運用している唯一かつ水中作業のスペシャリスト中のスペシャリストというべき企業である。
ちなみに現在運用されているD155W-1の総数は合計5両だが、これは国内にある全ての数である。運用に当たってはメインの作業機の他に、バックアップ機を備えた2両体制で行うことも多く、その結果年間スケジュールは極めてタイトであるという。
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さて、ここからは実機のディテールに迫ってみたい。
コマツD155W-1の外観的な、特徴は何と言っても車体の中央部から延びた巨大なダクトである。
その役割はエンジンへの給気と排気、そしててっぺんには操縦用無線受信アンテナがセットされるこのダクトは、まさにD155W-1の心臓部であり、側面には水深を示す表記もあることから、オペレーターが陸上から操作する上での重要な目標物でもある。