日本の自動車輸出を襲う「最悪のシナリオ」 台頭する米中欧の保護主義、BEV戦国時代の勝者はいったい誰になるのか

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世界各国でBEVの販売競争が加速している。この戦国時代に日本勢は立ち向かえるのか。2021年における乗用車登録台数から考える。

あからさまな保護主義を打ち出す米国

テスラのウェブサイト(画像:テスラ)
テスラのウェブサイト(画像:テスラ)

 世界各国および自動車メーカーによるバッテリー電気自動車(BEV)の販売競争が加速するなか、米国は保護主義色の強い施策を押しすすめている。

 8月に成立し有効となったインフレ削減法は、法律そのものは、昨今のエネルギー価格の高騰などによるインフレ削減対策をうたっている。しかしながら、BEVまたはプラグインハイブリッド車(PHEV)に限っていえば、

「北米自由貿易協定(NAFTA)域内で最終的に組み立てられたものに限って補助金を出す」

という、あからさまな保護主義を打ち出しているのだ。ちなみにNAFTAとは米国、カナダ、メキシコの3カ国により締結された経済協定である。

 補助金の内容はBEVもしくはPHEVの購入に際し、1台あたり最大で7500ドル(約110万円)の税額控除が受けられる仕組みである。なお、この法律の要件を満たす日本の自動車メーカーの車両は、日産「リーフ」のみだ。

 今後は補助金の適用要件がさらに厳しくなる。2023年1月1日以降に購入あるいは契約する車両から、最終組み立て地に加え、バッテリー材料に含まれる重要鉱物や、バッテリー部品の生産・組み立てに関する調達先や部品の価格割合などが要件となる。

電気自動車の販売が加速する米国市場

充電の風景(画像:pixabay)
充電の風景(画像:pixabay)

 なお、2022年12月31日までは最終組み立て要件以外、以前の規則が適用されるとのことである。これまでの規則は、新たな規則と同様に、BEVもしくはPHEVの購入に際し、1台あたり最大で7500ドル(約110万円)の税額控除が受けられるものの、20万台までとメーカー別に上限が設けられていた。

 実際、補助金に加えて、昨今のガソリン価格高騰で米国では電気自動車の販売が加速している。

 2022年第2四半期の新車販売台数のうち、ハイブリッド自動車(HEV)、PHEV、BEV、燃料電池自動車(FCV)の合計は45万2879台となり、前年同期比では18.2%増となっている。このうち、BEVは21万1808台を占め、前年同期比で77.8%と驚異的な伸びを示した。

 メーカー別のシェアでは、テスラ(米国)が71.5%と大半を占め、フォード(同)、起亜(韓国)、現代(同)と続いているが、インフレ削減法により、テスラの寡占化がさらに進むのではないか。

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