日本の自動車輸出を襲う「最悪のシナリオ」 台頭する米中欧の保護主義、BEV戦国時代の勝者はいったい誰になるのか
世界各国でBEVの販売競争が加速している。この戦国時代に日本勢は立ち向かえるのか。2021年における乗用車登録台数から考える。
日本勢が向かう先は

BEV戦国時代に日本勢は立ち向かえるのだろうか。ここで、2021年における世界の主な市場の乗用車登録台数を見てみよう。
・全世界:6614万台
・米国:1185万台(18%)
・EU:970万台(15%)
・中国:2018万台(31%)
・日本:369万台(5.6%)
このように、米国、EU、中国で世界の自動車市場の約6割を占めているのである。最悪のシナリオは、これからBEV化が進むにつれて、世界三大マーケットそれぞれが保護主義色の強い施策を打ち出す、あるいは巨大なマーケットを持つ国や地域だけで解放し合うようになることだ。
最悪のシナリオを迎えた場合、巨大なマーケットを持たない日本勢は、日本国内で製造して輸出する方法では太刀打ちできない。その場合、自動車の地産地消化により、ますます海外工場での生産比率が高まって「自動車の輸出」は死語になるだろう。
世界三大マーケットの政治的なリスクを回避するという点では、テスラが米国、中国、ドイツに工場を構えたことは理にかなっており、今更ながらひとつのお手本のように思えてくる。