日本の交通を破壊する「走行距離税」 クルマ社会・物流企業を直撃、自民・三原じゅん子氏も「課税はやばいよ」の心情か
内閣府の税制調査会で「走行距離税」が提案された。交通は「国の血流」だ。その血の流れを妨げるような行為はこの国の「死」に直結するのではないか。
走行距離税とは何か

「うちの田舎では厳しいです。本当に走行距離税なんて実現したら、地方には誰も住まなくなるのではないでしょうか。地方で自動車は生きるための足ですからね」
この悲痛な訴えは、北関東に住む筆者(日野百草、ノンフィクション作家)の旧友によるものだ。2022年10月26日に開かれた内閣府の税制調査会でマイカーの走行距離によって課税する「走行距離税」が提案されたことに対しての懸念である。筆者の生まれ故郷も含め、地方からのこうした声は毎日届いている。
「ただでさえガソリンも高いし、普段の車の税金も高いのに、これ以上どうしろというのでしょう。車がないと生活できません」
走るほどに税金が上がる、これは日本の根幹を揺るがす新税となるかもしれない。電気自動車の普及によるガソリン税などの課税減収を見越しての、いわゆる
「代替財源」
だろうが、地域によって走行距離はさまざま。しかし、大半の地方では年間5000km、場所や仕事、事情によっては年間1万kmを超える人もいるだろう。特に北海道に住む人たちは大変な負担となるに違いない。
「そもそも何重にも税金を納めているはずなのに、さらに納税、それも走った距離なんてめちゃくちゃですよ。額は知りませんが、生きていけなくなります。それくらい地方では車が生活必需品なんです」
まだ検討段階でしかない道路網維持のための課税として、電気自動車に対する課税とともに提案されたのが走行距離税なのだ。