銀座を走る「KK線」 2030年代以降に廃止、その後生まれる「空中回廊」をご存じか

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東京高速道路は2030年代以降に廃止が決定された。自動車専用道路がほぼ全区間廃止になるケースは非常にまれだ。廃止後は「空中回廊」に様変わりする。

KK線は空中回廊へ

銀座の商業施設の上を走る東京高速道路(画像:写真AC)
銀座の商業施設の上を走る東京高速道路(画像:写真AC)

「首都高速道路 日本橋区間地下化事業」による首都高速都心環状線(C1)のルート変更にともない、東京高速道路(KK線)は2030年代以降に廃止が決定された。そして廃止後、KK線は「空中回廊」という全く別の姿になることが計画されている。

「KK線が廃止になる」

 この言葉を聞いて、衝撃を受けた人たちは多いだろう。何しろ、東京都心部で自動車専用道路がほぼ全区間廃止になるのだ。

 確かに、自動車専用道路において、主に線形改良を理由として一部の区間や施設が廃止になるケースは存在する。しかしながら、今回のKK線のように自動車専用道路がほぼ全区間にわたって廃止になるケースは非常にまれだ。

 交通量が極端に少ない道路ならばともかく、KK線は東京都心部の路線だ。確かに接続するC1と比較すると交通量は少ないが、それでもKK線は1日あたり約3万台の交通量を誇る。この交通量は、「東北自動車道」と「常磐自動車道」および仙台近郊の有料道路を除く東北地方の全ての自動車専用道路を上回っており、KK線は決して過疎路線ではないことが伺える。

KK線はなぜ廃止されるのか

日本橋川の位置(画像:日本橋川・神田川に清流をよみがえらせる会)
日本橋川の位置(画像:日本橋川・神田川に清流をよみがえらせる会)

 それでは一体なぜKK線は廃止されるのか。その原因は前述の「首都高速道路 日本橋区間地下化事業」にある。日本橋区間地下化事業の詳細は割愛するが、簡単に伝えると

「日本橋川周辺の首都高速の高架区間を地下区間へ転用する事業」

だ。

 だが、ことはそう単純ではない。

 何しろ、問題になっている高架区間は江戸橋ジャンクション(JCT)や神田橋JCTといった大規模施設に加え、複数の出入り口が存在する交通の要衝だ。特にJCTがふたつも含まれていることから、

・C1
・首都高速八重洲線
・首都高速6号向島線

をはじめとする複数路線が地下化事業の影響を受けるのである。

 この中でもC1の地下区間は、現行の八重洲線を流用し、西銀座地区から新富町付近まで新たに建設される「新京橋連絡路」といったルートを通過予定だ。結局、“日本橋区間”地下化事業と名付けられながらも、地下化事業の影響は京橋や東銀座、西銀座地区まで波及。東銀座出口~西銀座JCTが新京橋連絡路と重複し、かつ構造上大型車の通行ができないKK線は廃止に追い込まれることになったのだ。

 ただ、いくらKK線が不要になるからと言って、都心のど真ん中に元々自動車専用道路であった広大な敷地を空き地として打ち捨てておくのは非常にもったいない。そこで提案されたのが、KK線の跡地を「空中回廊」である「Tokyo Sky Corridor(トウキョウ スカイ コリドー)」として整備する案だ。

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