デザインの似た鉄道車両、なぜ増えた? コスト削減の背後にある「規格化」というデカい潮流

キーワード :
,
近年、さまざまな鉄道会社で「似ているが少しずつ違う車両」が増えている。いったいなぜか。

差異と類似のどちらが気になる?

総合車両製作所の「sustina」(画像:総合車両製作所)
総合車両製作所の「sustina」(画像:総合車両製作所)

 もちろん、細かな違いを気にするのも興味深ければ、「共通点」を探るのも面白い。その意味では、最近盛んになっている、

・鉄道車両の「規格化」「ブランド化」

にもっと関心が寄せられてもいいのではと、筆者(小林拓矢、フリーライター)は考える。

 山手線のE235系、東急田園都市線の2020系、都営地下鉄の5050形、京王電鉄の5000系は、すべて同じ規格から生み出されたものだ。総合車両製作所の「sustina」というシリーズである。

 鉄道車両メーカーが規格を制定し、その規格をもとに座席やドア数などを鉄道会社の要望に添って提供することで、異なる意匠と同様の構造の車体が生み出されてきた。

 総合車両製作所(神奈川県横浜市)は、東急車輛製造とJR東日本の新津車両製作所が経営統合してできた鉄道車両メーカーだ。その経緯から、東急電鉄やJR東日本の車両を多くつくっている。一方、これまでの車両メーカーとしての経験を生かし、ステンレス車両を多くの鉄道会社に提供している。

 JR乗り入れの相模鉄道の車両・12000系といった車両も、総合車両製作所の手によるものである。静岡鉄道が低コストで新車を導入できたのも、この「sustina」車両を採用したからだ。

 総合車両製作所がつくってきたさまざまな車両の設計をもとに規格化し、提供時にはそれぞれの事業者にあわせて提供するという形にしてコストダウンを図り、それでいて鉄道利用者の満足を高めるということができるため、sustinaは優れた鉄道車両規格となっている。

全てのコメントを見る