トヨタが「富士ミュージアム」を新設 収益は度外視、むしろ負担? いったいなぜなのか

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「富士モータースポーツミュージアム」が静岡県内にオープンした。収益を伴わない文化事業に、自動車メーカーが取り組む意義についてあらためて考える。

国内外10社の協同で名車そろう

 今から30年ほど前のことである。

 前者はトヨタだけにとどまらず、世界の自動車文化全体を体系的に捉えているほか、後者は自動車の生産技術に関する歩みについて非常にコアな展示を行っている。

 そんなトヨタであるが、このたび富士スピードウェイ(静岡県)に隣接した場所に新たな博物館を完成させた。その名は「富士モータースポーツミュージアム」。

 富士スピードウェイを中心とする富士モータービレッジに開館するこの博物館は、その名の通りモータースポーツの歴史に大きくクローズアップしたものとなっている。

 世界の自動車史におけるモータースポーツのルーツは、19世紀末にフランスで開催されたパリ・ルーアン・トライアルとされている。それからおよそ130年。モータースポーツは折々の時代の要請とともにその姿を変え、進化を重ねてきた。

 同ミュージアムの目的は、こうしたモータースポーツの世界的な歴史の歩みを、わが国におけるモータースポーツの聖地のひとつでもあった鈴鹿サーキットと富士スピードウェイの歴史とともに、広く深く伝えること。

 そして、個々のメーカーが送り出したレースカーに関連する技術の進化も、併せて体系的に捉えることで、後世に正しく伝えることである。

 こうした博物館において、何と言っても重要なのはその展示物だが、常設展示される車両はおよそ40台。これはトヨタだけではなく国内外の自動車メーカー10社の協同でさまざまな時代の名車とされるものが選択されているという。

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