「駅前ロータリー」で談笑するタクシードライバーたち、彼らはいったい何を話し合っているのか? 日常風景の謎に迫る
東京にもあったローカルルール

独自ルールはローカル駅のタクシープールだけではなく、東京の主要駅にも存在する。その中身はさまざまで、
・プール内での並び方(縦並びか横並びか、右並びか左並びか)
・プール内の入庫(右回り優先か左優先か)
・最後尾の車両はハザードランプ焚く
などだ。地方のタクシープールによっては、プール内の掃除当番などもあり、地域に貢献しているものの、新参者は付け入る余地がない。
社員同士のスカウト合戦ぼっ発

タクシープールには多くのタクシードライバーが集まるため、激しいスカウト合戦も行われている。スカウトといっても、会社の人事が有能なドライバーをヘッドハンティングしにくるのではなく、
「タクシードライバーが、タクシードライバーをスカウトする」
のだ。なぜ、このようなスカウトが行われているのか。それは、タクシー業界には「紹介料」が存在するからだ。
各タクシー会社によるが、ひとり紹介するごとに
「20~40万円」
の紹介料がもらえる。その紹介料欲しさに、ドライバー間でスカウト合戦が行われている。また、紹介者だけではなく、紹介された人も「入社祝い金」をもらえるケースもあり、それを目当てに入社退社を繰り返す
「祝い金ジプシー」
なる者も存在する。
そういったこともあってか、タクシー業界は転職ならぬ「転社」が横行している。自分の子どもの
・進学
・結婚
など、人生の節目にかかる出費のために転社を繰り返している人もいる。そのため、転社でそのドライバーの「人生模様」がわかってしまうこともある。
タクシー会社はドライバーが減ったからといって、車両を減らせない。減車だけではなく増車も、会社都合で勝手にできない決まりになっている。なぜなら、国がタクシーの台数を需要と供給のバランスから算出し、調整しているからだ。
結果、ドライバーが減れば車両を遊ばせることになり、経費ばかりがかさみ、経営を圧迫しかねない。人材確保は、どのタクシー会社も重要課題のひとつなのだ。今後、ドライバー不足がより深刻になれば、紹介料はますます高騰するかもしれない。
タクシープールには、さまざまな職業を経験をしたドライバーたちが集まる。もしかしたら、喜怒哀楽に満ちた、人生にまつわる情報の「宝の山」かもしれない。