シェアサイクルの「駐輪場」もはや迷惑施設か? 相次ぐ返却トラブル、サービス人気だけに現状が悔やまれる

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全国的に普及しているシェアサイクルだが、その一方で抱えている課題も多い。いったい何か。

地方では他交通機関との競合も

シェアサイクルとサイクルポート(画像:写真AC)
シェアサイクルとサイクルポート(画像:写真AC)

 東京だけでなく、地方でもシェアサイクル普及で改善すべき問題が見え始めている。

 筆者(石坪マナミ、自転車ライター)がこれまで取材した、地方都市におけるサイクルポートの問題は、

「面的な設置が広がらない」

ことだ。

「岡山市コミュニティサイクル ももちゃり」を運営する岡山県岡山市の事例を挙げよう。岡山市の場合、サイクルポートの設置箇所が中心駅の岡山駅と市街地中心部だけに偏在している。それ以外には、ほとんど設置されていない。

 岡山市は平地に広がる都市で、高低差がほとんどなく、自転車の利用を促すには有利な都市だ。例えば、山陽本線で岡山駅の次の北長瀬駅周辺にもサイクルポートを設置すれば、利便性は高まるはずだ。

 そうした面的な設置が広がらない背景には、

・自家用車の所有率が高い
・他交通機関との競合

がある。

 複数のバス会社が同一路線で競合している岡山市で、シェアサイクルのポート拡大はバス会社にとって大きな脅威となる。また先述の北長瀬駅は、周辺が住宅地として開発されたことで、2005(平成17)年に新設された。そのため、乗客を奪われる可能性のある交通機関をむやみに増やすわけにはいかないという事情もあるのだろう。

 同様の事態は香川県高松市でも見られる。高松市は以前から市がシェアサイクルを運営していたが、2022年4月からはハローサイクリングを導入している。その問題点は、市内中心部の限られた地域にしかサイクルポートがないことだ。こちらも、シェアサイクルが鉄道・バスを脅かす存在になるという危機感が浮かび上がってくる。

 数年前に比べると飛躍的に便利になったシェアサイクル。それでも、町のあらゆる区画にサイクルポートがある状況にならなければ「いつでも便利」にはならない。行政や事業者の拡充に向けた努力に期待している。

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