日野自動車エンジン不正 「過去の栄光」「社内力学」にとらわれた機能不全企業に最後の光は差し込むか?

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8月2日の行われた日野自動車の「調査結果および今後の対応」公表。同社は今後再生できるのか。

日野は再生できるのか

東京都日野市にある日野自動車本社(画像:(C)Google)
東京都日野市にある日野自動車本社(画像:(C)Google)

 今回の問題に関しては、再発防止は可能だろう。なぜなら、品質保証部等の社内第三者が、エンジンに関する全開発項目の確認試験を行えばよいからだ。

 専門性が高く人事異動しにくい業務のため、不正行為が長期間続いたが、調査委員の島本氏(ヤマハ発動機顧問)は、

「不正はエンジン部内では認識されていたが、部外には監査機能がなかったことが大きな問題だ。たとえ部内の人事異動がなくとも、この不正は発見できたはずだ」

と語っている。

 事実、今回の不正は、燃費目標達成に苦しむ後継エンジンの開発者が原因究明のために現状エンジンの認証データを確認し、極めて不自然なことに気づいて発覚した。

 調査委員会は、日野が再発防止に取り組むに当たって重要な提言をしている。

・目指すべきクルマづくりのあり方について議論を尽くす
・品質保証部門の役割を明確化した上で、その機能の強化に取り組む
・法規やルールの改正動向について前広に把握し、社内に展開する仕組みを構築
・開発プロセスに対するチェックと改善を継続的に行う
・不正はエスカレートするという教訓を再発防止に生かす
・大胆な「選択と集中」

 これらは再発防止より上位の、企業再生に焦点を当てた内容であり、実現には強い意志と不断の努力が必要だ。報告書は、役員以下の役職者の多くが「燃費は法規ではない」との認識であることも指摘している。これは驚くべきことだ。

 このように責任意識が希薄で、社内力学にしか興味のない多くの管理者のもとで、企業を抜本的に改善することは、トヨタ出身の社長でも容易ではない。

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