日野自動車エンジン不正 「過去の栄光」「社内力学」にとらわれた機能不全企業に最後の光は差し込むか?
真因は三つ

調査の一環で、委員会は全従業員を対象に記名式アンケートを実施した。約22%の回答率に対して、調査委員会は
「本問題を契機に組織の生まれ変わりを図りたいという気概と能力を持ち合わせた従業員が多数いることを実感させられた」
と述べている。
アンケートやヒアリング等の調査から、今回の問題に直接関係する要因を抽出・分析し、三つの真因、前述の
1.みんなでクルマをつくっていないこと
2.世の中の変化に取り残されていること
3.業務管理の仕組みが軽視されていたこと
にたどり着いた。
●みんなでクルマをつくっていない(組織の細分化と誤った自工程完結)
専門性や効率性を求めるほど、組織の細分化が進む。このリスクに対する問題意識が希薄であり、トヨタ流「自工程完結」を誤解して、自部署の部分最適を追求して職責を果たしたつもりになり、セクショナリズムに陥った結果、不正を行ったエンジン実験部が社内で孤立、実験部内でも上位者は相談相手ではなく担当者に課題を丸投げし、担当者は追い込まれていった。
●世の中の変化に取り残されている(過去の栄光にしがみつく大企業)
かつては「結果良ければ全てよし」だったが、世の中は変化し、法令順守やESG(環境・社会・企業統治)が重視されるようになった。多くの企業はこの変化に合わせて自社のプロセスを変革しているが、日野は「過去の成功体験にあぐらをかいて、変わろうとしていない」と従業員から評価されている。特に他社からの転職者や派遣社員の評価は厳しい。
●業務管理の仕組みが軽視されていた(統治されていない大企業)
企業規模の割には社内の規定類やマニュアル類の整備が進んでいない、判断権者や意思決定プロセスが不明確、適切な権限委譲がなされていない等、と調査委員会は評価した。ESGのG(企業統治)が軽視されていることは明らかだ。