もはや物流トラックすら煽られる時代? 「法定速度守っているのに」と嘆くドライバー、一般人の暴走いつまで続くのか
近年話題の「あおり運転」。そんななか、トラックをあおる一般ドライバーも現れ始めた。
トラックをあおる一般車両

「速く走れば速度違反、法定速度ならあおられる。仕事とはいえ理不尽だと思います、仕方がないですね」
いつも筆者(日野百草、ノンフィクション作家)の取材に協力してくれるトラック運転手。彼は法定速度をきっちり守って走っている。いや、走らざるをえない。
「タコグラフが付いてますからね。意外と知らない方もいるのではないでしょうか」
タコグラフ(タコ)とは運行記録計のこと。トラックだけでなくバスや一部地域の法人タクシーなどに設置が義務付けられている。トラックでは「貨物自動車運送事業輸送安全規則」で車両総重量7t以上、または最大積載量4t以上の事業用トラックが対象となる。
その歴史は古く、1962(昭和37)年に路線トラックを皮切りに義務付けられた。現在ではそれまでのアナログから多くがデジタル化されたため、デジタルタコメーター、略して「デジタコ」とも呼ばれる。位置情報から加速、減速、エンジンの回転数などが記録されるが、特に重視されているのがスピードに関するデータだ。
「ですから、私たちトラック運転手は法定速度を守らなければならないのです。でも片道一車線や一方通行では、急いでいる一般車両にあおられることもあります」
本来はトラックドライバーの安全を守るため、万が一の事故に対応するためのタコによるデータ取得だが、常に監視されているプレッシャーなど批判もある。特に近年では、法定速度の順守によるこうしたあおり運転の被害が聞かれるようになった。
「社名入りのトラックで私の名前も表示されています。こちらは法定速度を守るしかないのですが、やはり急いでいる一般車両の中にはあおってくる方もいます」