宇都宮ライトレールは「単なる路面電車」を超越できるか? 総事業費は当初の1.5倍、度重なる開業先送り 難題を超えた先にある未来とは
宇都宮ライトレールの建設が進んでいる。このこの新路線の意義とは何か。
全国初の全線新設による整備

宇都宮ライトレールは、全国初の全線新設による整備を行う。軌道法に基づく路線としては、富山県高岡市の万葉線高岡軌道線以来となる(1948年に富山地方鉄道伏木線として開通)。
開通にあわせて宇都宮市が進めているのが、MaaS(次世代移動サービス)の構築だ。宇都宮市は2019年、
・宇都宮大学
・早稲田大学
・KDDI
・NEC
・関東自動車
・東京ガス
とともに、「Uスマート推進協議会」を立ち上げている。
この協議会が2020年3月にまとめた宇都宮スマートシティモデル推進計画」によると、宇都宮ライトレールを軸とした「スマートシティうつのみや」が構想されている。
スマートシティうつのみやでは、公共交通空白地帯でのバス路線新設・延伸、デマンド型の乗り合いタクシーの整備にあたって、人工知能(AI)を活用した車両予約と運行システムが構築される。また、アプリを使ってバスや宇都宮ライトレールの経路探索や、乗り合いタクシーの予約、決済システムを提供。さらに、自動運転を見据えた実証実験も計画されている。
さらに、カーシェアリングの有効活用や、日本遺産に認定されている観光地である大谷地区での自動運転を使った交通の円滑化や回遊性の向上、イベント来訪者に向けたアプリを使った情報提供、顔認証によるキャッシュレス決済まで盛り込まれている。
基本は、地域住民にバスやデマンド型乗り合いタクシー、宇都宮ライトレールを組み合わせて、アプリで効率的に利用してもらうことだが、計画はさらに一歩先の未来も見据えている。