宇都宮ライトレールは「単なる路面電車」を超越できるか? 総事業費は当初の1.5倍、度重なる開業先送り 難題を超えた先にある未来とは
宇都宮ライトレールの建設が進んでいる。このこの新路線の意義とは何か。
動運転の実用化も予定される宇都宮市
宇都宮市は数年後、自動運転の実用化も予定されている。現在、栃木県は「栃木県ABCプロジェクト」として、自動運転システム(Autonomous)を導入した路線バス(Bus)の本格運行を目指した挑戦(Challenge)を実施している。
このプロジェクトでは、2025年度に自動運転バスの本格運行が予定されている。宇都宮市は2022年度、那須塩原市、足利市、那須町とともに実証実験が行われる自治体に入っている。なお、自動運転バスは2020年11月、茨城県境町で初めて実用化されており、各地で同様の動きが加速している。
ただ、現状は交通量の少ない地域や、神奈川中央交通が2022年5月に始めた慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス内での運行のように公道を走行しないものに限られている。いきなり市街地を運行するわけではないが、県庁所在地の宇都宮市が自動運転を導入するインパクトは大きい。
宇都宮ライトレールの計画は、1980年代、県南東部に位置する真岡市との間の新交通システムとして構想されたものが始まりだった。当初は、モノレールなどさまざまな手段が検討されたが、最終的に周辺の公共交通とリンクする最良手段として、ライトレールが選択された。
構想が実現するまでの技術発展は、宇都宮ライトレールを単なる新たな路面電車から、
「スマートシティの基幹となるインフラ」
に移行させた。
人口50万人規模の県庁所在地で、情報通信技術を使った公共交通機関の利用が、市民の移動にどんな変化をもたらすのか、今後も目が離せない。