ヴァージンG「飛行機で衛星打ち上げ成功」の衝撃 宇宙ビジネス新時代へ?

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英ヴァージン・グループが飛行機からロケットを打ち上げることに成功した。このことにより打ち上げの低コスト化と、宇宙ビジネスの活性化が期待されるとのこと。空中発射型ロケットのメリットはどこにあるのか。

空中発射ロケットの長所と短所

「ランチャーワン」と発射母機のボーイング747-400改造機「コズミック・ガール」(画像:ヴァージン・オービット)。
「ランチャーワン」と発射母機のボーイング747-400改造機「コズミック・ガール」(画像:ヴァージン・オービット)。

 空中発射の長所(メリット)は端的にいえば3つある。まず、飛行機用の滑走路と整備設備があればよいので、地上設備が簡素になって費用が圧縮できること。そして雲の上から発射するため、地上の天候に左右されずに打ち上げが行えること。さらに、上空は空気が薄く、かつ重力も弱くなるため上昇するロケットへの抵抗が減少し、同じ能力のエンジンであれば、少し重いものでも打ち上げが可能になることだ。

 一方、短所(デメリット)も3つある。飛行機の搭載重量に限界があるため、地上発射型に比べて軽量なものしか打ち上げられないこと。そして打ち上げがなくても発射母機の維持コストがかかるため、発射数が少ないと高価になってしまうこと。加えて、燃料満載のロケットを飛行機に搭載するため、危険性が高いことだ。

 このように、地上発射と比べてメリットがあったことから、空中発射ロケットの研究は比較的早い段階から始まっていた。なお、衛星打ち上げを目的とした空中発射型ロケットは、飛行機から打ち上げるタイプと風船から打ち上げるタイプがあるが、今回は前者のタイプの歴史を見てみよう。

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