暴走族化する「旧車會」 近年は警察が摘発対象に再定義、もはや昭和の二輪技術者たちに対する冒涜だ

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これまで旧車會のような「暴走族のようなバイク」に乗っているだけでは違法とは限らなかった。しかし、警察の姿勢は変わりつつある。

「警察は暴走族に甘い」は本当か

警視庁のパトカー(画像:写真AC)
警視庁のパトカー(画像:写真AC)

 まして法律とは面白いもので、たとえ違法車両であっても基本的に返還される。構造変更申請も通していない、というか通らないレベルの族車であっても「私有財産」であり財産権は守られるからだ。

 日本国憲法第29条「財産権は、これを侵してはならない」の通り、財産権は国家の侵すことのできない国民の正当な権利である。警察は原則、証拠品としての押収はできるが没収はできない。

 暴走車両が被害届の出ている盗難車であった場合、刑事裁判を経て他の刑事罰とともに没収(付加刑)することはあるが、それは窃盗罪であり暴走とは別の話となる。共同危険行為は問答無用で刑事裁判となるのが通例だが、裁判が終われば証拠品のバイクは戻ってくる。かつて昭和、筆者の悪い友達も警察署から「敷地の邪魔だから返還する」(まあ、時代である)と連絡があり何kmもの道のりを押して帰ってきた。

 免停かつ整備不良車両なので乗って帰るわけにもいかないからだが、私有財産なので返還はされた。暴走族の大半が少年法の対象だったこともあり、あくまで更生を優先した部分もあるのだろう。それこそ

「警察は暴走族に甘い」

など、よく言われたものだ。

 しかし、近年は没収される事例も増えた。一例としては広島県の例だが、暴走行為を繰り返し、かつ無免許の少年のバイクが裁判を経て没収されている。盗難車でもない私物だったのだが、仮に高価な旧車だとしたら集団暴走の代償は高くついたと言わざるをえない。

 第29条の財産権との兼ね合いが難しいところだが、悪質な累犯者の場合は没収もやむなしというところか。昔も警察署によっては「いつのまにか没収状態」ということもあったが、そうではなく明確な裁判を経た「没収」である。

 警視庁は現在「暴走族及び違法行為を敢行する旧車會員等に対する取締りの実施」として暴走族だけでなく、これまではグレーな状態だった旧車會も「暴走族等」に加えている。

 2022年5月31日の発表によれば

「旧車會員のうち、主として道路における自動車等の運転に関し、グループの行事等において、排気騒音や走行形態により一般通行車両や周辺住民に多大な迷惑を及ぼし、もしくは不安を与えることとなる行為をし、または行うおそれがある者で、暴走族に該当しない者により構成されているグループ」

として、旧車會を摘発対象に再定義している。

 筆者が先に書いた通り「暴走族のようなバイク」に乗っているだけでは違法ではないため、「旧車會員のうち」というエクスキューズ(言い訳)はついているが、やはり2021年の43歳リーダーによる神奈川県での大暴走行為が警察を本気にさせた、ということだろう。

 暴走族と旧車會とのコラボ暴走だったこともあり旧車會も完全に目をつけられた格好だ。若者に強いる上納金など暴力団さながらで、かつての暴走族もそうだったが、旧車會もまた暴力団の資金源にされている可能性がある。

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