暴走族化する「旧車會」 近年は警察が摘発対象に再定義、もはや昭和の二輪技術者たちに対する冒涜だ

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これまで旧車會のような「暴走族のようなバイク」に乗っているだけでは違法とは限らなかった。しかし、警察の姿勢は変わりつつある。

「合法爆音」は違反にならない

旧車(画像:写真AC)
旧車(画像:写真AC)

 いわゆる旧車會(旧型の自動車またはオートバイを暴走族風に改造し集団走行を行うグループの総称)のように「暴走族のようなバイク」に乗っているだけでは違法とは限らない。しかし、警察の姿勢は変わりつつある。

 これまで、暴走族やそれに類する一部旧車會の摘発は、その名の通り集団暴走、つまり「共同危険行為」に該当すると警察が判断してのことだった。道路交通法第68条では「共同危険行為等の禁止」として

「二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない」

と定めている。

 この場合の「自動車」は普通自動二輪車も該当する。まずこれが前提にあり、それに付随する形で

・無免許運転
・整備不良(違法改造)
・登録番号標等表示義務違反

などで追って摘発となる。

 しかし逆に言えば集団暴走をせず、当該免許を取得し、改造箇所の構造変更(記載変更)手続きをして乗っている限りは「暴走族のようなバイク」でも合法車両である。旧車會も素人目には

「どこをどう見ても暴走族」

だが、実際は合法車両として乗っている人たちもいて、これまで現場レベルでの取り締まりは緩かった。

 彼ら旧車會に関してよく指摘される「爆音」もまた、変な言い方になるが「合法爆音」とでも言うべき状態であれば違反にならない。

 この音に関する問題は非常に複雑であり、本稿の本旨ではないため簡単に述べるが、つまるところ「古いバイク」、特に昭和のバイクは原則的に現在の騒音規制に当てはまらないのだ。

 当時は車検で「近接騒音」を検査する制度がなかったため、例えば1985(昭和60)年以前に登録されたバイクは、現在も当時の騒音上限が適用される(その他、各年式による)。

 筆者(日野百草、ノンフィクション作家)の好きな旧車としてカワサキの「マッハ」(のちKH、いわゆるケッチ)と呼ばれる1968年から1980年までに製造されたバイクのシリーズがあるが(ケッチの販売は1982年ごろまで)、これはノーマルでもうるさい。

 マフラーからの白煙もすごいのだが、とにかくとんでもない音で、かつて暴走族と呼ばれる以前に「カミナリ族」と呼ばれた集団があったが、マッハのそれはまさに「カミナリ」である。筆者はカワサキの誇る名車「じゃじゃ馬マッハ」の音が大好物だが、興味のない人にとっては迷惑な爆音だろう。しかし法的には当時の法にのっとるためまったく問題なく「合法」である。

 暴走族全盛時代のノスタルジーもあろうが、彼らが昭和の旧車を好む理由はそこにもある。