暴走族化する「旧車會」 近年は警察が摘発対象に再定義、もはや昭和の二輪技術者たちに対する冒涜だ

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これまで旧車會のような「暴走族のようなバイク」に乗っているだけでは違法とは限らなかった。しかし、警察の姿勢は変わりつつある。

高騰する旧車、人気漫画の影響?

『東京卍リベンジャーズ』(画像:講談社)
『東京卍リベンジャーズ』(画像:講談社)

 現代の排ガス規制下のバイクではそうした音はまず出ないし、出たとしても騒音規制に引っかかるからだ。

 もっとも、こうした旧車は希少価値もあり高い。マッハなどは年式や状態、排気量にもよるが安くとも300万円はするだろう。ケッチも状態が良ければそれくらいはするだろう。

 それは同じく尋常でないプレミア価格のついているホンダの「ホーク」シリーズも同様で、最近人気の『東京卍リベンジャーズ』という漫画にも登場して話題となったが、若い人の認知度が上がったためか登場するケッチ(KH400)やホーク(CB250T)、あるいは少し新しくなるがCBX400Fといった旧車がさらに高騰している。そのような暴走族カルチャー全盛の70年代、80年代に乗れなかったからと旧車會に参じる者もいる。

 ちなみにロケットカウルや三段シートといった往年の暴走族カスタムも法の範囲内に収めた上で構造変更申請を通せば問題ない。高さ2m級の三段シートも極端な絞りハンドルも、いわゆる「カチ上げ」ロケットカウルも法定内なら構造変更は通る。

「暴走族みたいだからダメ」

とは言われない。

 実際、旧車會の人たちの中には、いかに合法的に「暴走族のようなバイク」でツーリングを楽しむかを追求している趣味人もいる。また暴走族に類する人たちに好かれてしまうだけで、ケッチもホークも、他社ならスズキのサンパチ(GT380)やヤマハのペケジェー(XJシリーズ、特にXJ400)なども含め、世界に誇る二輪大国日本が開発した名車である。暴走族に使われるからと廃棄するわけにも、ましてや現代の騒音規制に当てはめて走行禁止にするわけにもいかない。彼らの一部による使い方が問題なだけである。

 ということで、これまでそうしたいわゆる「暴走族」や「旧車會」(決して両者を一緒くたにしているわけではない)的な人たちが集団暴走で警察に捕まっても、あの「暴走族ルック」な車両は没収されることもまずなかった。

 先に書いたような合法車両なら、摘発はあくまで共同危険行為のみとなるため、車両そのものは返還される。旧車會の集団ツーリング(という名の共同危険行為)が摘発されても、ほとぼりが冷めれば同じメンツで繰り返される点はそこにある。

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