ロータリーエンジンは「マツダ」だけじゃなかった! とある独メーカーが社運を賭けた「奇跡の1台」とは

キーワード :
, , ,
マツダの代名詞的存在だった「ロータリー・エンジン」。その誕生の歴史は、昭和30年代までさかのぼる。

10年間で計3万7000台が生産

 しかしNSU Ro80は前作のヴァンケル・スパイダーと同様に、エンジンの完成度で苦労することになる。

 特に初期型は、アペックスシールの耐久性不足とそれに起因するチャターマークによるローターハウジング本体の劣化は深刻であり、NSUの工場はそのクレーム対策に忙殺されることとなった。

 さらにこれがきっかけで経営の悪化を見たNSUは、1969(昭和44)年には経営を立て直すためにフォルクスワーゲンの傘下に入ることを余儀なくされた。

 しかし結果的にはこれが良い方向へと作用する。フォルクスワーゲン側の理解もあってすぐさま生産中止に追い込まれることもなく、地道な改良への歩みを進めることとなり、最終的には1977年まで生産されるという長寿命モデルとなった。

 後期型はエンジントラブルも大幅に減少し、トータルで3万7000台余りが生産されたのは当初のつまずきを思えば立派な成績だった。

 今回、写真で紹介しているRo80は、アメリカ・フロリダ州のとある博物館に収蔵されている1台。収蔵品でありながら普段はスタッフの足としても活用されていると言う。NSU Ro80の中では、かなり幸せな余生を送っていることは間違いない。

 なお、一連のマツダ車、NSU Ro80以外にヴァンケル・ロータリーエンジンを搭載した市販車としては、フランスのシトロエンが1973年と1974年の2年間だけ発売していたシトロエンGSビロトールがあった。

 こちらもロータリーエンジンの未来を見据えた意欲的な1台ではあったものの、エンジンの信頼性を得ることはかなわず。大量の返品クレームに頭を悩ませたシトロエンのヘッドクォーターは、工場に入庫したビロトールの大半を買い取り回収という対策を実施することとなる。

全てのコメントを見る